また審査員を務めます

 シンガーズチャンピオンという、東北全域を対象とした大会の審査員を務めさせて頂きます:)僕は岩手県にいますが、審査は宮城予選の審査をいたします。

以下主催者さんのインスタの投稿です、ご覧下さい。

https://www.instagram.com/p/Cgl8H84PI9j/?igshid=YmMyMTA2M2Y=

 それから、僕の審査ポイントなどについて、インスタで紹介したものを転載します:)


「良い歌とは?」を科学する

 僕の審査スタイルは超理論派ですけども、今回は「光る個性に注目する大会」ということで、テクニックよりも表現が先立っているパフォーマンスを評価します。どういうことか一応説明しておきましょうか?・・・料理にも例えながら🍳

歌で表現するべきもの

 要は「自慢のハイトーンを聴かせるために歌った歌唱」なんかはテクニックありきの自分勝手な歌です。言わば「高級な食器を見せるためにわざわざ料理する」ようなもので「巧いけど伝わらない・なんか鬱陶しい・・・」と思われるほとんどがこの発想で歌われた歌です。自己主張のためだけに利用された楽曲はなんて可哀想なんでしょう・・・(´・ω・`)。テクニックは表現を完成させるために用意されるものであって、例えば「この高ぶった歌詞の感情を伝えるためにハイトーンを用意するんだ!」という発想の順番が必須です。
 全部がハマっている神がかったパフォーマンスをするには、色々な材料を上手く使いながら色々な角度の表現を磨きます。材料を並べてみましょう。まずもって楽曲がどんな材料で出来ているか、その特徴・旨みを理解できているかどうかが第1歩です。

歌を作る材料

 歌において表現するべきは、①音楽そのもの「音楽表現」、②歌詞の内容「歌詞表現」、③それらを通して生まれた「感情表現」④自分自身や個人的な想いを重ねた「自己表現」、の4つです。これらが歌を作る材料になります。だいたいの人が「気持ちを込めて」と言いますが、それだけでは自分の都合を念力・超能力で押し付けようとしているだけであって、それが歌い方に変化として現れないと聞き手には分かるはずもありません。実際に「歌い方の形」を変えるには、そもそも「楽曲の形」を理解していることが大前提です。楽曲の材料の形を見ることができれば、材料の旨みがどこにあるかは音源の中に鳴っているし、歌詞に書いてます。

音楽と友達になる

 カラオケ音源を隅々まで聴いてください。自己陶酔で歌う人の歌が他人に不快感を与えるのは、自分のパートしか聴けてなくて音楽的な空気が読めない結果、リズム・音程・発声がめちゃくちゃになるからです。そりゃ音楽にも嫌われて当然です。

①音楽表現

 ドラムとベースからリズムとグルーヴの旨みを、ハーモニー担当の楽器から楽曲の雰囲気を感じて、メロディが他のパートとどう噛み合っているかが分かれば、音楽部分の形は見えてきます。食材を適切な形にカットして丁寧に下処理する。楽曲を立体的に捉えて縦横を丁寧に整理すれば、この段階でリズムと音程はしかるべき形にある程度ハマります。肉じゃが用と切り方と野菜炒め用の切り方は変えるべきです。これが楽曲に合わせる=TPOに合わせる=音楽マナーです。その先、音程・リズム・強弱を積極的に動かして変化を付けるのが音楽表現です。この辺がカラオケ機械でテクニックとして良く採点対象にされてますね。音楽の波・凸凹にどうノればいいかは色々な楽器パートが教えてくれます。それに合わせればいいだけです。「この曲嫌い」と言うのは曲のせいでは無くて、その曲の乗り方が理解できない自分が悪いんです。少なくともそう思いましょう。理解できれば乗れる→乗れれば楽しい→その曲を好きになる。

②歌詞表現

 歌詞の内容を理解していれば、元気に歌えばいいのか、悲しげなのか、怒るのか、ふざければいいのかはハッキリします。そしたらどんな声を出せばいいのか、張ればいいのか・ウィスパーすればいいのかは勝手に決まります。発声学として正しい声と、音楽的に正しい声は必ずしも一致しません。良い声じゃなくても味のある歌は歌えます。どんな料理にしたいか、必要なスパイスを用意しましょう。味付けの作業が歌詞表現です。

③感情表現

 音楽と歌詞、それ自体を理解して楽しんだ結果生まれた感情の表現をします。音楽表現と歌詞表現の2つの表現は「形を作って外に表す」もので、これを通すとようやく「気持ちを込める」が意味のあるものになってきます。というか、上の2つの表現がちゃんと理解・実践できていればさえ、気持ちは後から付いてきます。これを経験すればどういう意味かは感覚的に理解できるでしょう。1つ気を付けて欲しいのは、他人が作った曲を歌わせて貰う場合は作詞作曲したのは他人であり、楽曲は他者の感情を歌った曲になりますので、④自己表現とは違って、これは言わば「他者感情表現」になります。

④自己表現

 あとは自分自身の状況や伝えたい想いなどをトッピングして、好きな食器に盛り付けて提出( •̀ᴗ•́ )/ これが自己表現です。丁寧に言うと「自己感情表現」です。ちょっとキツく言いますが、歌という形で自己表現するならば、まずは①②③の表現が出来ていないと話になりません。音楽・歌詞を理解できないんだったら、歌じゃなくて絵やスピーチや手紙やファッション、自己表現をする方法は他にいくらでもあります。わざわざ歌という方法を選ぶ必要はありません。

個性の出し方

 個性は、無数にある表現パターン=簡単に言えば「歌い方」を色々試して、自分が好きなものを残すと原曲マネにならない自分だけの歌になりますよ。この色々な歌い方が思い付くかどうかは、普段どれだけたくさんの音楽に触れているかで引き出しの量が決まります。このインスピレーションを生み出せるかどうかはセンスになりますので、普段から意識してクリエイティブに歌と向き合い、色々な歌い方が思い浮かぶようにセンスを磨きましょう。これができると作詞作曲もできる可能性がでてきますよ。

「一音入魂」

 「テクニックより表現が先立っている」「良かった・凄かった」の中身を説明するとこんな感じになります。僕の音楽的好みは当然全く加味しません。参加者の方がどれくらい自分の楽曲のことを見てあげているか、そして1音1音に意思を持たせて息を吹き込めているか「一音入魂」が出来ているかどうか、これに尽きます( •̀ᴗ•́ )/ここまでできれば楽しいし、自分の殻を破れる良い歌になるはずです。

「巧い<上手い<旨い」歌

 この程度だとまだ具体的な書き方にはなってませんが大まかには以上です。これで「巧い」以上に「上手い」以上に味の染み出た「旨い」歌が完成します。もう一度言いますが「インスタでブランドバッグが見切れるように写真を載せる」ような、これみよがしな歌じゃなく、楽曲に寄り添って音楽と友達になり、4つそれぞれの表現を楽しめているパフォーマンスを目指しましょう!これができれば全部がハマった輝かしい歌になります。

コメントする

必須フィールドには、* がマークされています。あなたのメールアドレスが公開されることはありません。